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君と僕をつなぐもの(雪道)

あいつに電話をする時は、いつだって緊張する。

何をしているのか、とか。
今電話してうざがられないか、とか。
重くないかな、とか。
メールのほうがいいのか、とか。

そんなことをいつだって考える。

でもそれでも声が聞きたくて、小さな勇気を振り絞る。
情けなく、どうでもいい理由をつけたりして。
次はいつくるのか聞きたい、とか。
母さんが、話したいといってる、とか。
自分でも情けないぐらい、小さい。

でもやっぱり、俺みたいなガキが焦ってるって思われたくなくて。
好きで好きでしょうがない、なんて態度見せたくなくて。
俺は大人なんだぞって、そう思わせたくて。

余裕があるふりをしたい。
それがガキだって、母さんは笑うけど。

今日も一つ深呼吸。
震える指で携帯を操作する。

と、それより早く携帯から軽快な着メロが鳴り響く。
慌てて母さんに携帯を返そうとして、その画面に出ている名前に心臓が跳ね上がる。
母さんに許可をとるまでもなく、取り落としそうになるぐらい焦って開いて通話ボタンを押す。

「す、鈴鹿?」

声がひっくり返る。
何が大人の余裕だ。
どうしても、こんなにも、いつだっていっぱいいっぱい。
君に関わる全てに、俺はいつだって全力疾走。

『あ、駿君?よかった、大丈夫?お話したくってね』

精一杯虚勢を張る俺に、君はそんなはずんだ声で飛び上がるほど嬉しい事を言う。

『駿君の声、聞きたかったんだ』

ああ、だから。

きっと俺は君に一生かなわない。

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