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バレンタイン

本気で忘れてたので、短く。そのうち消します。
時系列無視。


■野良犬

「は、はい、チョコ」
「ありがとう。あれ、市販のチョコ?」
「なんか文句あんのかよ」
「いや、あんたのことだからベッタベタに王道直球手作りチョコレートだと思ったのに」
「そ、そんな面倒なことしないし」
「そっか、残念」
「せっかくやったのに文句あるのかよ!」
「いえ、ありません。あ、でもせっかくならあれがよかったかな」
「あれ?」
「自分にリボンでプレゼントは私、みたいな」
「死ね、アホか!ていうかおっさんくさい!」
「ひどいな」
「………はい」
「ん?」
「おいしいかどうか、分からないから」
「あれ、こっちは手作り?さすが三田、外さない」
「だから渡すのいやだったんだよ!」
「ありがとう。嬉しい。愛は最大の調味料。あんたが作ったのなら毒が入ってても美味しいです」
「………その言い方はあんまり嬉しくない」
「まあ、実際あんたの作るもんってうまいと思う」
「さ、三倍返しだからな」
「いつもの三倍サービスするね」
「いらんわ!」


■囚われ(一年前設定)

「真衣ちゃん。あ」
「何よ」
「いや、それ俺が貰ったチョコだよね?」
「だから何?」
「うーん、もう、仕方ないなあ。まあいいけどね」
「ふん」
「真衣ちゃんはチョコくれないの?」
「あげる訳ないでしょ」
「ひどいな。じゃあ、これでいいよ」
「あ、私の!」
「俺のでしょ?」
「私が食べてたんだから私の!」
「すごいジャイアンだな」
「あ、指まで舐めた。汚い」
「ん、おいしかった。ご馳走様」


■あなたにその手がある限り

「あれ、思ったより少ないですね」
「それは家に来た分。学校で押しつけられた分はあっちで処分した」
「なるほど。で、これどうするんですか?」
「捨てとけ」
「はあ。勿体ないですね」
「じゃあ、お前食え」
「それも怖いですね」
「何が入ってるか分からないもん食う趣味はない」
「俺もないです。じゃあ、捨てておきます」
「ああ」
「夕飯食うんですか?」
「いや、出かける」
「バレンタインデートですか。大変ですね」
「女の夢ってのは、経済効果抜群だな」
「お疲れ様です。頑張ってくださいね」


■(異)情事

「あれ、橋本君どうしたの。そんなに呆然として」
「す、鈴木、ちょ、ちょっと俺を殴ってくれ」
「え、こんなところで、変態プレイを強要されるのはちょっと。誰も見てないところにしましょうよん」
「い、いや。そっか。そうだな。うん、ごめん」
「ちょっとどうしたの、本当に混乱して」
「ちょ、ちょ、チョコ。チョコが」
「は、ちょちょちょチョコ?」
「チョコがこんなに!」
「あらまあ、橋本君ったらもってもて」
「ぎ、義理だとしても、こんなに貰ったの、俺、初めてなんだけど。これ、何かの罠かな?もしかして罰ゲームの対象とか?あ、ホワイトデー目当てとか?俺そんな金ないよ!どうしよう、ああ、でもやべえ、すいません、罰ゲームだろうとなんだろうと嬉しいです!ありがとうございます!」
「誰にお礼言ってんのさ。まあ、お前最近評判いいしな」
「え、嘘!?何それ、俺知らないんだけど!え、ってことはこれ本命とか混じってるの?嘘!うおおお、やべええ、興奮してきた!」
「そりゃそういう女子をシャットアウトしてる人がいるからね。橋本君、大喜びしてるのに水差すの可哀そうだから言っておくけど、それ菊池に見つかるなよーって、あ、もう遅かったか」
「あああああ、俺のチョコ!俺のチョコどうするんだよ、菊池!おい、てめえ!ふざけんな、俺のチョコ返せ!返せってば!すいません、返してください!」

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お約束だけできぬ人



「ああ、髪を結っているのですね」
「だから、女の身支度を勝手に覗くなって言わなかったかい、このトンチキが」

いつものように無遠慮に庭から家に上がりこむ男に、女は盛大にため息をついた。
髪を梳いていた柘植の櫛を傍らにおき、襦袢のあわせをそっと直す。

「あなたが髪を結っている姿は、たまらなくそそりますね」
「口説き文句もなっちゃいないね、もっと気の利いた表現をしてご覧よ」

冷たい言葉にも、男はめげずに今に上がりこむ。
もう慣れっこの女は、もう一度軽くため息をつくと櫛をとった。
男はそれに興味を惹かれたように、子供のようにねだる。

「私に、髪を梳かせてもらえませんか」
「旦那でもない男に髪を触らせるほど、安くはないつもりだよ」

女は振り向きもせず、そう切り捨てた。
瞬間、太くたくましい腕が、女の体を捕らえた。
その加減を知らない強さに、息を呑む。
首筋に熱い熱を感じて、体が震える。

「……なんのつもりだい」
「どうして、振り向いてくれないんだ。好きなんだ。あなたが好きなんだ」

つたなくそっけない、けれどそれゆえにまっすぐで飾りない言葉。
身を引き絞られるような痛みが、女の胸を指す。
一瞬、前をむいたまま男に見えないように唇を噛む。

「……とおも年下の男にうつつを抜かす囲い者か。そりゃ大層な見ものだね」
「そんなの関係ない!俺があなたを守る!」
「そういうのは、自分で稼げるようになってからお言い。坊や」

男の腕に、さらに力がこもる。
けれどやはり、女は前を向いたまま。

「……あなたの心の氷室の雪は、いつか世に出て溶けるでしょうか」

昔馴染んだ、言葉遊び。
女はそっと、笑う。

「本当に困ったお坊ちゃんだよ。無理を通せば道理がひっこむのかい?」
「……あなたはひどい人だ」
「ああ、そうだよ。とっとと愛想尽かしちまいな」

ああ、でも、本当に。

嫌なお方の親切よりも、てなもんだ。



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それが俺達の日常

「ねえ、あんたさ、直哉のことどう思ってるの?」

唐突にみずほがそんなことを聞いてくる。
せっかくのみずほとの二人きりの時間。
あんなやつの話はしたくない。

「………馬鹿」
「成績はあんたと小学校バスケチームとNBAレベルの差があるわよ。まあ、馬鹿だけど」
「馬鹿以外のなんでもないだろう!なんていうか存在が!」
「まあ、馬鹿よね」

みずほは小さく肩をすくめる。
だからあいつの話なんてしたくないんだ。
俺はみずほと、二人の話をしたい!
デートの行き先とか!
二人の将来とか!

無理だけどさ。

みずほは俺の嫌そうな顔がわかっているだろうに、先を続ける。
まあ、みずほはそういう女だ。
俺の都合なんて理解はしても、気にすることはないだろう。

「でも、それだけなの?あんたなんでその馬鹿ほうっておかないの?」
「なんでそんなにあの馬鹿の事気にするんだよ!」
「直哉が好きだから。でどうなの?」

鬼だ。
この女は本当に鬼だ。
でも好きなんだよな。
どうしようもなく。
だから、仕方なく答える。

「あいつ、放っておいたらなにするか分からないじゃん。野放しにできねーよ」

特に何も考えずに答えた言葉に、みずほは変な顔をした。
そして大きくため息をつく。

「な、なんだよ」
「直哉は頭いいけど、ばかよね。あんたは頭悪いけど、かしこいわ」

そして、そんな事を言った。

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君と僕をつなぐもの(雪道)

あいつに電話をする時は、いつだって緊張する。

何をしているのか、とか。
今電話してうざがられないか、とか。
重くないかな、とか。
メールのほうがいいのか、とか。

そんなことをいつだって考える。

でもそれでも声が聞きたくて、小さな勇気を振り絞る。
情けなく、どうでもいい理由をつけたりして。
次はいつくるのか聞きたい、とか。
母さんが、話したいといってる、とか。
自分でも情けないぐらい、小さい。

でもやっぱり、俺みたいなガキが焦ってるって思われたくなくて。
好きで好きでしょうがない、なんて態度見せたくなくて。
俺は大人なんだぞって、そう思わせたくて。

余裕があるふりをしたい。
それがガキだって、母さんは笑うけど。

今日も一つ深呼吸。
震える指で携帯を操作する。

と、それより早く携帯から軽快な着メロが鳴り響く。
慌てて母さんに携帯を返そうとして、その画面に出ている名前に心臓が跳ね上がる。
母さんに許可をとるまでもなく、取り落としそうになるぐらい焦って開いて通話ボタンを押す。

「す、鈴鹿?」

声がひっくり返る。
何が大人の余裕だ。
どうしても、こんなにも、いつだっていっぱいいっぱい。
君に関わる全てに、俺はいつだって全力疾走。

『あ、駿君?よかった、大丈夫?お話したくってね』

精一杯虚勢を張る俺に、君はそんなはずんだ声で飛び上がるほど嬉しい事を言う。

『駿君の声、聞きたかったんだ』

ああ、だから。

きっと俺は君に一生かなわない。

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彼への想い(日課)

「あ、ストーカーだ」
「あ、えっと、はい、ストーカーです」

それが、私と千賀ちゃんの初めての出会いだった。


***



「あんなにストレートに言われたのは初めてだったよ」
「ごめん、私つい思ったことが口に出ちゃうんだよね…」

千賀ちゃんが困ったように頭をガシガシと掻きあげる。
そんな乱暴な仕草をしても、綺麗な千賀ちゃんは綺麗。
いいなあ、うらやましい。

「皆、思っていても言わないことだから、新鮮だった」
「あー、もうしないってば」
「あ、違うの。責めてるんじゃなくて、嬉しかったの。正直な子だなあって、遠巻きに見られているより、ずっと嬉しい」

自分で十分痛いやつだって分かってるけど、やっぱり遠巻きに見られて何か言われるのは悲しい。
だから、千賀ちゃんぐらいはっきりしてくれるのは、気持ちがいい。
千賀ちゃんがいてくれたおかげで、クラスで友達できたし、うかないですんだ。
とてもとても、嬉しい。

「千賀ちゃんがいてくれて、よかったよ」
「あんたって、本当に感情表現が直球よね………」

顔を赤くして、千賀ちゃんが笑う。
ストレートなのは千賀ちゃんの方だと思う。
笑って怒って、きらきらしている。

「あいつにも、よくやるよね。そんなにふられて、どうして諦めないの?」
「うーん」
「あ、っと、また表現が悪かったね。ごめん!」
「ああ、いいよ。普通に話して」

千賀ちゃんの、迷いのない飾りのない言葉が好き。
そのはきはきとした言葉は、とっても気持ちがいい。

「痛いよねえ。諦め悪いストーカーだよねえ。でも、私は、友ちゃんを好きでいることが楽しいから」
「ふられても?」
「ふられても。友ちゃんを想うことが楽しいから。辛いし、悲しいけどね。でも………」
「でも?」

千賀ちゃんが、不思議そうに私を見ている。
私は彼のぴんと伸びた背中を思い出して、ちょっと笑う。
いつでも思い出せる、大好きな背中。

「楽しいから諦められないんだ」

たとえ、それが叶わない想いでも。
そしてそれが、叶わない想いだからこそ。

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