カレンダー最新記事ブログ内検索リンクお薦めアクセス解析 |
GO MAD 日記日記とか雑文とかもろもろ2011.02.19 Sat 14:23:31 バレンタイン本気で忘れてたので、短く。そのうち消します。
時系列無視。 ■野良犬 「は、はい、チョコ」 「ありがとう。あれ、市販のチョコ?」 「なんか文句あんのかよ」 「いや、あんたのことだからベッタベタに王道直球手作りチョコレートだと思ったのに」 「そ、そんな面倒なことしないし」 「そっか、残念」 「せっかくやったのに文句あるのかよ!」 「いえ、ありません。あ、でもせっかくならあれがよかったかな」 「あれ?」 「自分にリボンでプレゼントは私、みたいな」 「死ね、アホか!ていうかおっさんくさい!」 「ひどいな」 「………はい」 「ん?」 「おいしいかどうか、分からないから」 「あれ、こっちは手作り?さすが三田、外さない」 「だから渡すのいやだったんだよ!」 「ありがとう。嬉しい。愛は最大の調味料。あんたが作ったのなら毒が入ってても美味しいです」 「………その言い方はあんまり嬉しくない」 「まあ、実際あんたの作るもんってうまいと思う」 「さ、三倍返しだからな」 「いつもの三倍サービスするね」 「いらんわ!」 ■囚われ(一年前設定) 「真衣ちゃん。あ」 「何よ」 「いや、それ俺が貰ったチョコだよね?」 「だから何?」 「うーん、もう、仕方ないなあ。まあいいけどね」 「ふん」 「真衣ちゃんはチョコくれないの?」 「あげる訳ないでしょ」 「ひどいな。じゃあ、これでいいよ」 「あ、私の!」 「俺のでしょ?」 「私が食べてたんだから私の!」 「すごいジャイアンだな」 「あ、指まで舐めた。汚い」 「ん、おいしかった。ご馳走様」 ■あなたにその手がある限り 「あれ、思ったより少ないですね」 「それは家に来た分。学校で押しつけられた分はあっちで処分した」 「なるほど。で、これどうするんですか?」 「捨てとけ」 「はあ。勿体ないですね」 「じゃあ、お前食え」 「それも怖いですね」 「何が入ってるか分からないもん食う趣味はない」 「俺もないです。じゃあ、捨てておきます」 「ああ」 「夕飯食うんですか?」 「いや、出かける」 「バレンタインデートですか。大変ですね」 「女の夢ってのは、経済効果抜群だな」 「お疲れ様です。頑張ってくださいね」 ■(異)情事 「あれ、橋本君どうしたの。そんなに呆然として」 「す、鈴木、ちょ、ちょっと俺を殴ってくれ」 「え、こんなところで、変態プレイを強要されるのはちょっと。誰も見てないところにしましょうよん」 「い、いや。そっか。そうだな。うん、ごめん」 「ちょっとどうしたの、本当に混乱して」 「ちょ、ちょ、チョコ。チョコが」 「は、ちょちょちょチョコ?」 「チョコがこんなに!」 「あらまあ、橋本君ったらもってもて」 「ぎ、義理だとしても、こんなに貰ったの、俺、初めてなんだけど。これ、何かの罠かな?もしかして罰ゲームの対象とか?あ、ホワイトデー目当てとか?俺そんな金ないよ!どうしよう、ああ、でもやべえ、すいません、罰ゲームだろうとなんだろうと嬉しいです!ありがとうございます!」 「誰にお礼言ってんのさ。まあ、お前最近評判いいしな」 「え、嘘!?何それ、俺知らないんだけど!え、ってことはこれ本命とか混じってるの?嘘!うおおお、やべええ、興奮してきた!」 「そりゃそういう女子をシャットアウトしてる人がいるからね。橋本君、大喜びしてるのに水差すの可哀そうだから言っておくけど、それ菊池に見つかるなよーって、あ、もう遅かったか」 「あああああ、俺のチョコ!俺のチョコどうするんだよ、菊池!おい、てめえ!ふざけんな、俺のチョコ返せ!返せってば!すいません、返してください!」 PR 2010.01.01 Fri 10:34:16 お約束だけできぬ人「ああ、髪を結っているのですね」 「だから、女の身支度を勝手に覗くなって言わなかったかい、このトンチキが」 いつものように無遠慮に庭から家に上がりこむ男に、女は盛大にため息をついた。 髪を梳いていた柘植の櫛を傍らにおき、襦袢のあわせをそっと直す。 「あなたが髪を結っている姿は、たまらなくそそりますね」 「口説き文句もなっちゃいないね、もっと気の利いた表現をしてご覧よ」 冷たい言葉にも、男はめげずに今に上がりこむ。 もう慣れっこの女は、もう一度軽くため息をつくと櫛をとった。 男はそれに興味を惹かれたように、子供のようにねだる。 「私に、髪を梳かせてもらえませんか」 「旦那でもない男に髪を触らせるほど、安くはないつもりだよ」 女は振り向きもせず、そう切り捨てた。 瞬間、太くたくましい腕が、女の体を捕らえた。 その加減を知らない強さに、息を呑む。 首筋に熱い熱を感じて、体が震える。 「……なんのつもりだい」 「どうして、振り向いてくれないんだ。好きなんだ。あなたが好きなんだ」 つたなくそっけない、けれどそれゆえにまっすぐで飾りない言葉。 身を引き絞られるような痛みが、女の胸を指す。 一瞬、前をむいたまま男に見えないように唇を噛む。 「……とおも年下の男にうつつを抜かす囲い者か。そりゃ大層な見ものだね」 「そんなの関係ない!俺があなたを守る!」 「そういうのは、自分で稼げるようになってからお言い。坊や」 男の腕に、さらに力がこもる。 けれどやはり、女は前を向いたまま。 「……あなたの心の氷室の雪は、いつか世に出て溶けるでしょうか」 昔馴染んだ、言葉遊び。 女はそっと、笑う。 「本当に困ったお坊ちゃんだよ。無理を通せば道理がひっこむのかい?」 「……あなたはひどい人だ」 「ああ、そうだよ。とっとと愛想尽かしちまいな」 ああ、でも、本当に。 嫌なお方の親切よりも、てなもんだ。 2009.09.04 Fri 10:55:00 それが俺達の日常「ねえ、あんたさ、直哉のことどう思ってるの?」
唐突にみずほがそんなことを聞いてくる。 せっかくのみずほとの二人きりの時間。 あんなやつの話はしたくない。 「………馬鹿」 「成績はあんたと小学校バスケチームとNBAレベルの差があるわよ。まあ、馬鹿だけど」 「馬鹿以外のなんでもないだろう!なんていうか存在が!」 「まあ、馬鹿よね」 みずほは小さく肩をすくめる。 だからあいつの話なんてしたくないんだ。 俺はみずほと、二人の話をしたい! デートの行き先とか! 二人の将来とか! 無理だけどさ。 みずほは俺の嫌そうな顔がわかっているだろうに、先を続ける。 まあ、みずほはそういう女だ。 俺の都合なんて理解はしても、気にすることはないだろう。 「でも、それだけなの?あんたなんでその馬鹿ほうっておかないの?」 「なんでそんなにあの馬鹿の事気にするんだよ!」 「直哉が好きだから。でどうなの?」 鬼だ。 この女は本当に鬼だ。 でも好きなんだよな。 どうしようもなく。 だから、仕方なく答える。 「あいつ、放っておいたらなにするか分からないじゃん。野放しにできねーよ」 特に何も考えずに答えた言葉に、みずほは変な顔をした。 そして大きくため息をつく。 「な、なんだよ」 「直哉は頭いいけど、ばかよね。あんたは頭悪いけど、かしこいわ」 そして、そんな事を言った。 2009.09.04 Fri 10:53:42 君と僕をつなぐもの(雪道)あいつに電話をする時は、いつだって緊張する。
何をしているのか、とか。 今電話してうざがられないか、とか。 重くないかな、とか。 メールのほうがいいのか、とか。 そんなことをいつだって考える。 でもそれでも声が聞きたくて、小さな勇気を振り絞る。 情けなく、どうでもいい理由をつけたりして。 次はいつくるのか聞きたい、とか。 母さんが、話したいといってる、とか。 自分でも情けないぐらい、小さい。 でもやっぱり、俺みたいなガキが焦ってるって思われたくなくて。 好きで好きでしょうがない、なんて態度見せたくなくて。 俺は大人なんだぞって、そう思わせたくて。 余裕があるふりをしたい。 それがガキだって、母さんは笑うけど。 今日も一つ深呼吸。 震える指で携帯を操作する。 と、それより早く携帯から軽快な着メロが鳴り響く。 慌てて母さんに携帯を返そうとして、その画面に出ている名前に心臓が跳ね上がる。 母さんに許可をとるまでもなく、取り落としそうになるぐらい焦って開いて通話ボタンを押す。 「す、鈴鹿?」 声がひっくり返る。 何が大人の余裕だ。 どうしても、こんなにも、いつだっていっぱいいっぱい。 君に関わる全てに、俺はいつだって全力疾走。 『あ、駿君?よかった、大丈夫?お話したくってね』 精一杯虚勢を張る俺に、君はそんなはずんだ声で飛び上がるほど嬉しい事を言う。 『駿君の声、聞きたかったんだ』 ああ、だから。 きっと俺は君に一生かなわない。 2009.09.04 Fri 10:51:28 彼への想い(日課)「あ、ストーカーだ」
「あ、えっと、はい、ストーカーです」 それが、私と千賀ちゃんの初めての出会いだった。 「あんなにストレートに言われたのは初めてだったよ」 「ごめん、私つい思ったことが口に出ちゃうんだよね…」 千賀ちゃんが困ったように頭をガシガシと掻きあげる。 そんな乱暴な仕草をしても、綺麗な千賀ちゃんは綺麗。 いいなあ、うらやましい。 「皆、思っていても言わないことだから、新鮮だった」 「あー、もうしないってば」 「あ、違うの。責めてるんじゃなくて、嬉しかったの。正直な子だなあって、遠巻きに見られているより、ずっと嬉しい」 自分で十分痛いやつだって分かってるけど、やっぱり遠巻きに見られて何か言われるのは悲しい。 だから、千賀ちゃんぐらいはっきりしてくれるのは、気持ちがいい。 千賀ちゃんがいてくれたおかげで、クラスで友達できたし、うかないですんだ。 とてもとても、嬉しい。 「千賀ちゃんがいてくれて、よかったよ」 「あんたって、本当に感情表現が直球よね………」 顔を赤くして、千賀ちゃんが笑う。 ストレートなのは千賀ちゃんの方だと思う。 笑って怒って、きらきらしている。 「あいつにも、よくやるよね。そんなにふられて、どうして諦めないの?」 「うーん」 「あ、っと、また表現が悪かったね。ごめん!」 「ああ、いいよ。普通に話して」 千賀ちゃんの、迷いのない飾りのない言葉が好き。 そのはきはきとした言葉は、とっても気持ちがいい。 「痛いよねえ。諦め悪いストーカーだよねえ。でも、私は、友ちゃんを好きでいることが楽しいから」 「ふられても?」 「ふられても。友ちゃんを想うことが楽しいから。辛いし、悲しいけどね。でも………」 「でも?」 千賀ちゃんが、不思議そうに私を見ている。 私は彼のぴんと伸びた背中を思い出して、ちょっと笑う。 いつでも思い出せる、大好きな背中。 「楽しいから諦められないんだ」 たとえ、それが叶わない想いでも。 そしてそれが、叶わない想いだからこそ。 |